付き添わない医者を責められるか

毎日祈っている。
それが自分でできる唯一のことのように思える。
それから、被災者でない自分ができること。節電、小口募金、余分な買い物をしないこと。
あとは、公人以外の人を、責めないこと。
政治家は、責められるのが仕事だ。役人は、稚拙だったら責められるのが任務の一つ。
だが、普通の人は、そして役人でも被災者は、必死に生き延びているのだ。誰かを救えなかったとか、もう少しどうにかすればもっと助かったかもとか、どうにかできなかったのか、などとは言えない。絶対言えない。
今、病院から被災した人に医師が付き添っていなかったことについて、テレビで非難口調で報道している。だけど、医者や看護師だって被災者だ。非難できない。
被災して、一週間わずかな人数で寝ずに医療と看護をして、過重労働で、ストレスがかかって、それでやっと患者を搬送することができたとなったら、送り出すのが精一杯ではないだろうか。そうして自分たちもやっと、避難することができる。そんな状況じゃないだろうか。
それでも他の場所では付き添った医者はいた、というかもしれない。しかし、自分が被災者になってみなければ、そんなことは言えないだろう。
非常事態の時には、通常の常識や良識を押し付けることはできない。そう思う。