”花粉症のあけない夜明け”

『拒食症のあけない夜明け』なんて本があった。
今の私は「花粉症のあけない夜明け」だ。
おっと、これではまるで、週刊誌の特集記事の見出しみたいだ。よくあるじゃないか。いくつかの話題を集めてシリーズにし、何かをもじった一つの見出しでくくるやつ。「崖っぷちの女たち」とか「私はこれで○○をやめました」とか、「○○をでても不幸な人、○○をでて幸福な人」とか。
そのもじった見出し「花粉症のあけない夜明け」をくくると、大勢の人が引っ掛かるだろう。一般庶民からやんごとな人たちまで。
一昨日電車にのっている最中に、危機が来た。あれほど装備をして薬をの飲んだにも関わらず、いきなりマスクの下で鼻がずーとなってきた。
あわててティッシュを探した。ない。次に、トイレでエアータオルが増えたためにめったに使わなかくなった、だからいつも同じものが常備されているはずのハンカチを探した。ない。この日に限って。今度は、すでには私という人間を通して一日6本までも飲んで大丈夫という数年の人体実験(笑)を経た「小青竜蕩」をさがした。…あった。でも水がない。…。水がなくても飲むんだ!
というわけで苦い漢方薬の粉を、水なしで飲み込み、再びマスクをかぶせた。私がすごい顔をしていたのか、電車の向いに座る人、斜めに立っている人、両隣りの人、全員が事態を察してくれたらしい。心配顔で見ており、薬を飲み込むときは一緒に苦い顔をし、私が落ち着くと一緒に安心した顔をしていた。ほぼ全員がマスクをしていた。
同病相哀れむ、という言葉が妙に納得できる時期だ。