劇場・ホールについて考えた

昨日、今日と、ふたつの東京の区のホールに行って、劇場・ホールについて考えた。
昨日は『杉並公会堂」、今日は豊島区のホール『あうるすぽっと』だ。どちらも客席数はそう多くない。
杉並公会堂は会議室やその他の区民サービス用の様々な施設が一緒になっているようだ。入口の樹木がクリスマスシーズンらしくLEDで美しくイルミネーションが飾ってあった。
エントランスからホールへのアプローチは、よく設計されていると感じた。ホワイエも区民ホールとしてはなかなかに考えられている。使い勝手がいいのだ。
ホール自体は、音楽・コンサートを主体とした使用を中心に設計してあるようだった。実際、今回私たちが観賞したのは「聞きに行く」舞台だったし。
豊島区の「あうるすぽっと」ははっきり言って劇場そのものだけがとても良かった。今日は素晴らしいストレートプレイを見たが、多分、音楽劇やなんかの舞台もこなせるホールだ。しかも客席の椅子の角度も素晴らしい。前の人の頭が邪魔になる事もない。足元が危ないこともない。ホールそのものは、とてもよく設計されている。
だがそれ以外は、来場者にとって、決して便利でもなく、使い勝手がいいわけでもなく、ステキでもない。
ビルに組み込まれた会場へ行くのに、地下鉄で来た来場者をムダに遠回りをさせる案内システム、会場までのエレベータでムダに時間を食い、エントランスも特にステキなわけではない。
エレベータが混んで行列を作っているので、一階で今のうちにトイレに行こうと考えた客は、ボックスが一つしかないので、そこでまたまた長い行列を作っている。
エレベーターは二台あるが、劇場意外の目的階もあるので、スピーディーではない。劇場の入り口は二階だが、そこに上がる階段は非常階段風なので、たった二階さえも、皆エレベータを使おうとする。アフォーダンスがそうなっているのだ。
入場して、ホワイエで水分を取りたくても、水は切れていて飲めない。来場者分の水分が用意されていないのだろう。ベンダーもない。
私は一度入場してあとで、結局外のスーパーに飲み物を買いに行くはめになった。おかげで、地下一階の地下鉄駅出口階から直接、エレベーターに乗れることを、それで知った。
劇場というのは、劇場で何を観賞するかということと同時に、劇場そのものに行くことも大事だ。非日常の空間に足を踏み入れ、音楽や劇・舞台にいつもとは違う環境で触れる。
舞台のもつ効果、劇場の役割、素敵なホールの存在が、どれだけ普通の生活者に取って意味をもつか、それを知っている人・良く考えている人に、ホールとその周辺の設計をしてほしい。
とても幸いだったのは、今日観賞した劇「おやすみ、かあさん」が、良かったことだ。