観光客は、日本にとって何か?

数日前の新聞の記事が、気になっている。
中国からの観光客の、所得制限が下がり、今後は、今までよりも多くの観光客が日本に来るだろう、という記事だ。
それはいい。
だが、記事で最も行数を使って、唯一問題にしているのが、「今度許可されて来日する観光客が、どれほどお金を落とすか、買い物してくれるのかは、疑問」ということだ。
所得制限を下げたから、より多くの中国人が来るのであって、その人たちが今までの富裕層のように買い物をするかは疑問、と力説している。
他の課題や問題は書いていない。ただひたすら、その点についてである。
この新聞社の少なくともこの記事を読んでいると、この新聞社あるいは記者は、中国からの観光客を、旺盛な購買欲でお金を落としてくれるだけの存在としか、考えていないように思われる。
記事の隅々まで目を通しても、そう感じる。
だがそれでいいのだろうか。
観光客の本来の目的はその国を訪ねることだ。自分たちと違う文化や、伝統や、景色や、現代文明や、日本人や、…。何かに日うかれて訪れ、何かに身欲を感じて帰国する。買い物は、その魅力の一部だ。
だが、受け入れる方が、買い物をしてくれる、お金を落としくれる人たち、というだけの感覚で、外国からの観光客を受け入れていいのだろうか。
そんなことは、相手に必ず見透かされる。
今では違うが、むかし、香港やほかの観光都市に行って、そんな思いをして、嫌に思った時がある。
記事を読んでいて、私はそれを思い出した。