静かなる男と、S女史

一年コースだろうが二年コースだろうが、4月入学3月卒業のクラスメイト達はいま、修士論文に血眼になっている。髪振り乱しているという表現がぴったしの人もいる。
小学校の夏休みの終わりを思い出させる。
そしてもちろん、小学校の夏休みの宿題だろうが、大学院の修士論文だろうが、どちらにしても「優雅な人」がいるのだ。もう書きあげて、手直しもしていて、今は教授の直しをまっている人だ。
昨日S女史を見て、「大丈夫か?!」と危惧していた。大好きな人だけに、突っ込みさえ入れられなくなった。
で、今、自習室で某「静かなる男」にあったら、こちらはもう優雅この上ない。
「論文書きました?」「ええ、今なおしに入ってます」「え?もうですか?」と驚いたら、反対に静かに驚ろかれた。
「何言ってるんですか。提出は1月ですよ」彼は自分の時計の日付を見て確かめている。
ああ、S女史のような人は、この人から見れば特殊なんだ(笑)と、悟った。
彼は、いつも自習室で静かに座って腕組みして寝ているのに、いったいいつ論文を書くのだろう。