大学院はこれだから良い。

同期で入学したクラスメイトに、某劇団の責任者の一人であるS氏がいる。私はこの人のやわらかな物腰と献身的な雰囲気、そして静かな深さを、ひそかに尊敬している。
おそらく、考え方も私と近いのだろう。彼が受講して「良いよ」と評価した講義は、私もそれを信頼して受講して、外れたためしがない。
その彼が、以前私が読ませてくれと頼んでいた、彼の研究計画のメモをくれた。メモと言っても、数ページはある。
昨日、講義の空いた時間にそれを読んで、感動してしまった。研究計画書を読んで感動するとは思いもよらなかった。
論文メモの随所に、彼の文化に関する考え方や思想が書いてある。それが、素晴らしいのだ。
ある一行に目から鱗が落ち、ある一行に確かに!と感嘆し、ある一行にしみじみと考えた。
これからしばらく、彼に対して、さらに尊敬の念が増すだろう。専門職大学院の良いところは、こういう人に出会えることだ。こんな素晴らしい人と仮に仕事の中であっても、その人の思想や考えが書いてある論文を読むことは、チャンスとして無いだろう。